東北学院幼稚園

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年頭所感-阿部正子園長-

2020年01月06日



 
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 幼稚園 園長 阿部正子

幼児期を大切に

 

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年の豪雨と台風で被災された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
 今、この原稿を書いている最中に、悲しい報道が入りました。東北の街で14歳の中学生が殺人未遂の疑いで逮捕されたとのことです。昨年の年頭所感にも書きましたが、青少年の犯罪報道に接する度に思うのは、その子の幼児期に問題はなかったのだろうかということです。なぜなら不安定で崩れかねない思春期を、辛うじて支え乗り切る力は、幼児期にこそ育まれるものと信じているからです。
 《5歳までの環境が人生を決める》と、断言したのは2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマン氏でした。「ペリー就学前プロジェクト」という研究によって、幼児期(3〜4歳)に質の高い教育を受けた子どもたちと受けなかった子どもたちを比べ、その後の成長と将来の安定した生活に大きな差が生まれることを発表しました。このプロジェクトは、もともと「子どもたちのIQを上げるにはどうしたらいいか」という目的から出発しました。しかしその目的は見事に裏切られ「人生をより良いものにするにはIQ以外に大切なものがある」ということを統計的に証明したのです。
 人生においてIQ以外に必要なものとは何か。知的好奇心、想像力、探究心、協調性、思いやり、粘り強さ等々、目には見えませんが生きていく上でこれらは大切な力(非認知能力)です。一方で認知能力と呼ばれるものは読み書き・計算・知識など数値化できる主に小学校以降の学習を通して育つ力です。非認知能力が基盤となって、その上に認知能力が積み重なって育つので、乳幼児期には非認知能力を育てることが非常に重要です。その能力は、多彩な遊びの中でこそ育つものです。
 幼児期における質の高い教育とは、「非認知能力」を育て高める教育であり、遊びを重視した教育です。東北学院幼稚園は創立以来ぶれることなく《礼拝》と《遊びを通して学ぶ》ことを大切にしてきました。今後ともキリスト教保育実践園にふさわしい保育を日々実践していけるよう教職員一同祈りと熱意を持って励んでまいります。
 昨年十月に「幼児教育・保育の無償化」がスタートしました。これまで、日本の教育への公的支援はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中では極めて低い水準にありました。この制度のスタートによって子育て世帯の経済負担が軽減され、子どもたちのよりよい未来を作り出す第一歩となることが期待されています。
 幼児期がその人の人生の根っこを作り出していることに気づき、多くの人が幼児教育に対し、関心を強める機会になってほしいと切に願っています。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。