東北学院幼稚園

ニュース

年頭所感-島内久美子園長-

2023年01月04日

学びの原点

 

 新春のお喜びを申し上げます。旧年中、皆さまより賜りましたご支援とご協力に心より感謝申し上げますと共に、本年もよろしくお願い申し上げます。

 2022年、本園は創立60周年を迎えました。本園と共に歩んできた在園、卒園の子どもたち、保護者の皆さま、旧教職員及び本園の発展にお力添えいただいたすべての方々に、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。節目となる昨年、本園は子ども子育て支援新制度に移行し、新たな歩みを始めました。改めまして本園をご紹介させていただきます。

 市街地にありながら、自然豊かな園庭は、丘陵を利用し二段に分かれています。シンボルとなっている大きなクヌギや山桜の木をはじめ、たくさんの木々が園舎を囲み、四季折々の姿を見せてくれます。秋にはクヌギの木から落ちる「どんぐり」を子どもたちは目を輝かせて拾い集めています。また、落葉の時期は園庭一面が落ち葉で覆われ、風に舞う落ち葉と一緒に駆け回ったり、落ち葉掃除がいつの間にか温泉ごっこに発展したりと、園庭は園児の情操を大きく育んでいます。

 現在の初等教育以降は、「児童生徒1人に1台端末」「高速大容量の通信ネットワーク環境」の整備を目指した「GIGAスクール構想」とコロナ禍が背中を押し、ICT教育が進んでいます。しかし幼児教育の現場に求められている内容は文部科学省によれば、「幼児にはリアリティーを、諸感覚を使った経験を」「変化の時代だからこそ、心の『芯』を育む教育」といった体験を重視する内容とされています。特にICT教育で想像力の低下が危惧されている中、やはり幼児期に大切なことは、空を見上げ無限の世界を想像すること、自然を生活の一部とし命のつながりを学ぶこと、五感を使い、想像力・発想力の基礎を育むことにあるのでしょう。本園はこれまでどおり、五感を使った豊富な経験、人との関わりから生まれる協同性を育んでまいりたいと思います。

 一方で、園児に十分な準備や手立てを行うために、何より笑顔で園児の前に立つために、本園も教育・事務管理システムを導入し業務の改善を図っています。システム活用により格段に効率が上がった業務もありますが、登園確認はシステムではなく教職員によって行っています。他の幼稚園で昨年起きた痛ましい事故が物語っているように、システムの誤った操作や正しく活用されていないために生じる隙間を防ぐためです。なにより登園確認は、「いる」か「いない」かを確認するものではなく、「笑顔かな」「体調はどうかな」という個人に対する確認でありたいと考えています。そこに必要なのはやはり、個人への尊厳と愛なのでしょう。本年も建学の精神に基づき、園児と共に愛を持って生きる1年としたいと思います。

 最後になりましたが、皆さまのご多幸をお祈りし年頭のご挨拶とさせていただきます。