東北学院幼稚園

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年頭所感-島内久美子園長-

2026年01月05日

未来を創る力

 

 新年のご挨拶を申し上げます。昨年中は、本園の教育活動に温かなご支援とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。

 本園は建学の精神に基づき、「礼拝」を通して人格教育を行っています。毎日クラスで祈り、週に1度の合同礼拝では全園児で賛美の声を合わせ、聖書のみ言葉を聞き、日頃賑やかな子どもたちも、礼拝の時間は心静かに耳を傾けます。年に数回ある特別伝道礼拝では、宗教センターチャプレンや設置学校の宗教主任の先生にメッセージをいただくなど、礼拝を通して設置学校・法人との連携を深めています。クリスマス礼拝では、毎年園児による聖誕劇がささげられ、一生懸命覚えた歌やセリフを話す園児の誇らしげな表情と、それを見守る保護者と教職員によって愛に溢れる礼拝となります。15年前からはその中に、東日本大震災追悼礼拝も加わりました。小学校入学を控えた年長児と共に追悼の祈りを捧げ、震災を風化させず、災害時に身を守る術も伝えています。

 本園には「15年後のあなたへ」という冊子があります。それは東日本大震災発生の年、当時の教頭が保護者に働きかけ、震災時の状況や未来の子どもたちへ向けた思いが綴られたものです。震災から15年、当時在園していた園児は18歳、19歳、20歳になりますが、この子どもたちは世界的なパンデミックにより、再び当たり前の生活、必要な経験を奪われました。幼い時期と思春期に、先の見えない不安の中で生きることを強いられた子どもたちに、明るい未来を、そして笑顔で自分の道を歩み続けられることを祈り続けています。

 現在、困難の多い未来に向かう子どもたちが、それぞれの道を自分の力で生きることができる力を育もうと、OECD(経済協力開発機構)が「Education 2030」を立ち上げ、現在、「ラーニングコンパス(学びの羅針盤)」が提唱され国際的に大きな流れとなっています。このプロジェクト誕生の背景には東日本大震災があり、教育で子どもたちを支援しようとOECDが立ち上げた「東北スクール・プロジェクト」がきっかけの一つとなったということは広く知られています。未来を見据えた世界的な教育の転機が東北の地から始まり、それを担ったのが震災当時の福島県、岩手県、宮城県の中高生でありました。「東日本大震災の復興教育とOECD東北スクール」:(福島大学人間発達文化学類発行)の巻頭に、当時中学2年生だったメンバーの言葉が記されています。(以下原文抜粋)

 「私にとって「東北スクール」は「このままではいけない」という始まりです。今まで不安そうな親や大人の方たちを、ただ見ていただけだった私たちに、何ができるだろうか。この大好きな福島のために、何をしなければならないのだろうか。この東北スクールに参加させていただき、たくさんの大人の方々の協力を得て、私たちに今できる最高のことを考えていきたいと思う。」

 この言葉は、困難が起こった時にも、子どもや若者の力によって未来が開かれるであろうことを信じさせてくれます。

 未来を創る本園の園児も「ラーニングコンパス」において重要としている「新たな価値を創造する力」を育む根底として、子どもが発見した思いや事象に心から共感し、「対立やジレンマを克服する力」の糧となる困難が立ちはだかった時に、自分で考えることを側で支えること、「責任ある行動をとる力」の根底を支える自己肯定感を育む、神に愛されているかけがえのない一人であるということを、伝えていきたいと思います。

 最後になりましたが、皆さまのご多幸をお祈り申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。